加齢や生活習慣で肌を支える皮下組織の構造が崩れたり、新陳代謝が滞ったりするとフェイスラインがたるみやすくなりますが、顔の筋肉(表情筋)の衰えもまたフェイスラインのたるみを進行させる原因です。
加齢やストレス、生活習慣などによって、顔の皮膚を支える皮下組織の機能が低下することで、皮膚にハリがなくなり重力に負けて垂れ下がってしまうようになります。
しかしフェイスラインがたるむ原因には、皮膚の老化や皮下組織の支持力低下の他にも、表情筋の萎縮や顔面骨格の萎縮など、いくつかの理由が考えられます。
まずはフェイスラインがたるむメカニズムを、原因別に把握しておきましょう。
岐阜大学大学院の加納宏行准教授によれば、老化によって現れる皮膚の変化や肌組織の機能低下によって、顔のたるみが進行するということですが、このこと自体はなんとなくみなさんも実感されていると思います。
ただし加齢だけでなく、無理なダイエットや精神的なストレスによって新陳代謝のバランスが崩れ、表皮のすぐ下にある真皮層が薄くなったり、肌のハリを支える膠原線維(結合組織内の細胞間にある線維で成分はコラーゲン)やヒアルロン酸などが減少したりすれば、たるみやシワのリスクが高まります。
また、さらに下層にある皮下組織において、クッションとして働く皮下脂肪が減少すれば、骨が突出したり、たるみが悪化したりします。(※1)
表情筋は皮膚を吊り上げる支持組織として重要なだけでなく、血液やリンパ液の代謝機能にも重要な役目を果たしている組織です。そのため表情筋の衰えは、見た目の印象を暗くするだけでなく、フェイスラインのたるみにも大きな影響を与えます。
国際医療福祉大学三田病院放射線診断センターなどの研究グループによる、20~83歳までの被験者を対象に行われた画像検査では、若年層と高齢層では表情筋の形態が変化していることが確認されました。
同研究では、特に頬骨の周りの筋肉や、目の周りの筋肉において、加齢とともに萎縮が進行し、表情筋の衰えが顔面の老化現象を悪化させていると示唆されています。(※2)
また、表情筋を普段から動かしていると、顔の血管や組織内での血流・リンパの流れが促進されるため、むくみによるフェイスラインのたるみを予防できるとも考えられています。そもそも、皮膚組織や表情筋などの土台として働く顔面骨格が萎縮したり、変形したりしてしまうと、上部組織である皮膚や筋肉などが余ってしまうことになり、顔のたるみやシワといった劣化は避けられません。
顔面に限らず、骨の萎縮や変形は全身の骨で起こる可能性がありますが、その原因の1つが骨密度や骨質の低下といった骨粗鬆症です。
公益財団法人長寿科学振興財団が運営している健康長寿ネットによれば、骨粗鬆症の原因として考えられるものとして、加齢や閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の減少や、運動不足や食生活の乱れといった生活習慣などを挙げています。(※3)
加齢による皮下組織の機能低下や顔面骨格の萎縮などは、個人差こそあるもののある意味、不可抗力であるともいえます。しかし筋肉に関しては例外です。適切な栄養摂取や十分な睡眠など日常生活を見直した上で、表情筋を意識的に使っていけば、かなり改善が見込めると言われているのです。
特に頬や目の周り、口元の表情筋は、頬やあごといったフェイスラインのたるみに影響しやすい筋肉です。普段から明るく豊かな表情を心がけていくことが、顔の老化や劣化を予防する最大の対策かも知れません。
※1:加納宏行,「褥瘡を診るのに必要な皮膚の構造・機能とスキンケアの基礎知識:皮膚と老化~皮膚が老化するとどのような問題が生じるのか」[pdf]https://www.igaku.co.jp/pdf/1609_wocnursing-04.pdf#search=%27皮下組織の支持力低下%27(2019年4月23日参照)
※2:奥田逸子,他(2011),第15回臨床解剖研究会記録2011.9.2~3,「顔面加齢の画像解剖学的検討―顔面加齢は画像でも説明できる―」[pdf]http://www.jrsca.jp/contents/records/contents/PDF/12-PDF/p46.pdf#search=%27顔+加齢+萎縮%27(2019年4月23日参照)
※3:公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット,「骨粗鬆症の原因」[online]https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/kotsu-soshoushou/shindan.html(2019年4月23日参照)
サイト監修
セオリークリニック院長
筒井 裕介先生
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美容のためにクリニックへ通うことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。けれども、外見が気になって気持ちが前向きになれない、自分に自信が持てないというのはとても残念なことです。
今回監修いただいた筒井先生の在籍するセオリークリニックでは、カウンセリングを重視し、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を心がけています。美容クリニックは敷居が高いと感じている方も多いかもしれませんが、まずはお気軽にご相談ください。
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